WOWOW 全豪オープン「2003年1月17日号」掲載記事
 大会3日目で日本人選手は誰も居なくなった。実は今大会は、アジア選手に大きな期待が集まっていた。
タイのスリシャパン、韓国の李である。2人とも2回戦で姿を消したが、スリシャパンはフィリポーシス戦で惜敗、観衆に感動を呼ぶ素晴らしい戦いだった。プレーの中味もそうだが、何よりもマナーがいい。
これからは一気にスターの座に駆け上がっていくだろう。
プロはファンにアピールする絶対のものが必要だから。
 4人の日本人選手もすでにシングルスのコートにはいない。ワイルドカードの本村は健闘したが1回戦負け、浅越はあっさり消えた。
問題はエース杉山の2回戦敗退である。21シードの杉山の相手はノーシードのペドロワだった。明らかに格下の選手である。
ビッグゲームでは顔や格がものを言う。真剣に戦うことは言うまでもないが、相手を見下ろす余裕も必要だ。
杉山さんはマナーがいい。人柄もいい。グランドスラムに対して想いが強く、大事に考えすぎるのではなかろうか。
『勝手にしやがれ、あたしは強いの』と威嚇するぐらいのふてぶてしさもあっていいのではないか。
謙虚にふるまうところと自分に徹するところは使い分けたほうがいいのではないか。
 生意気なことを言うようだが、私はオリンピックを始め、あまたのスーパスターの戦いを伝えてきた。素直ないい人ではだめなのだ。
心のあり方を変化させるのもヒントになるのではないか。
その意味では森上がコーチを失い悲しみの中からワイルドカードの重みを受け止めた心のあり方が2回戦に進み、健闘を見せた戦いに結びついたのだろう。
 勝負は心のあり方にある。内なる敵とどう戦うかであろう。


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