Column No.01 (2002/10/18デイリースポーツ掲載分)
◎男を軽く見るな

  シカゴマラソンの日本最高記録に私はTVの前で喜びと驚き、そしてTV局のバカさかげんにあきれるという、いくつもの思いを交錯させながら見入っていた。高岡寿成選手に最大級の賛辞を贈るとともに、日本のマスコミの女子偏重主義に反省を促したい。確かにこのところの五輪、世界選手権では女子が好結果を出してきた。しかしマラソンの中継はレースそのものを伝えるのが第一である。ベルリンといい、シカゴといい、TV局は単なる応援放送と視聴率稼ぎのためで、レースそのものを伝えていない。殊に、シカゴを放送したテレビ東京は渋井陽子のちょうちんもちかコマーシャルに過ぎなかった。
「シカゴで渋井が爆走します」「シカゴで渋井があの人を越える」「渋井陽子が新たな伝統を創る」このコマーシャルにはうんざりだった。男子はまるで「添え物扱い」だった。放送で高岡を写したのは、なんと
中盤以降、高岡が世界最高を上回るペースでトップに立ってからだ。解説の増田明美さんが「高岡は好調ですと伊藤国光コーチが言っていました。男子にも注目しておいた方がいいですよと伊藤さんは強調してましたが・・・・」とせめてもの抵抗を示していた。日本陸連はTV局にきちんと釘をさしておくべきだろう。「レースの価値と必要以上に個人だけをクローズアップしないように」陸連の理事が解説をしているのだから「ミーハー的マラソン」によいしょするのは「見識」を問われる。実力のある実況アナウンサーで、民放では私の好きなアナウンサーがメインだったが、今回は不出来、リポーターは実況するのではなく必要な情報を伝えるのだ。インタビューの女性アナはおそまつ、プロとして恥ずかしい。そして一番の元凶は統括、判断する製作者である。
 ともあれ、高岡選手の快挙とバルセロナ五輪で放送席を共にした伊藤国光監督に敬意を表したい。



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