Column No.37 (2003/07/16デイリースポーツ掲載分)
◎五輪はプロのもの?

 アテネ五輪の野球のアジア予選は長嶋ドリームチーム=プロオンリー=で行くようだ。勿論代表権が得られれば、来年8月の公式戦真っ最中でもプロ選手だけの編成になるという。先日もある報道関係者と話していたら「楽しみだ。金メダルの瞬間を見たい」と熱っぽく話していた。
 コーチに就任した大野さんや高木さんが取材や解説の合間に視察している姿にお目にかかったが、星野監督には「勝てんかったら帰ってくるな」ときつ〜い一発をかまされていた。プロのオールスターで行ったら負けることは許されまい。
 五輪はもともとアマチュアのものだった。今年は松坂世代がごっそりプロに進み、アマチュアのめぼしい選手は少ないといわれている。しかし、アマチュア選手の最大の望みを遮断していいものだろうか?そして、来年出場する場合、ペナントレースの一番大事なときに、優勝争いのティームのスターがぬけてもいいのだろうか。プロは興行である。プロ選手は夢を売り報酬を得るのだ。日本人は五輪至上主義者が多い。ひょっとすると、世界中で一番五輪が好きな民族なのかもしれない。
 米大リーグは前回のシドニーに続いて「シーズンを中断するわけにはいかない」と大リーガーの派遣はせず、3A、日本風に言えば二軍の選手で戦うようだ。従って松井・イチローが日本ティームの一員としてアテネ五輪へ行く道は閉ざされている。これは一つの見識である。大リーグにとって最優先は五輪ではなく自分達の「仕事」が第一なのだ。他のプロスポーツも米では同じはずだ。
 バスケットがドリームチームを組んで五輪に出てきたのは、五輪の最中がオフシーズンだからなのだ。
 ドリームチームに拘らず、野球の世界への普及と五輪への夢を叶えてあげられるやり方があるはずだ。84年のロス五輪〜96年のアトランタ五輪まで、日本の選手はすべてアマ、シドニーも選手24人中アマは16人だった。いま、プロで活躍している五輪組は各ティームの主力になっている。アマ時代の五輪の感激は今回で途切れてしまうのだろうか。



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