Column No.50 (2003/10/22デイリースポーツ掲載分)
◎嬉しい日米の優勝

 丸山茂樹が米ゴルフツアーのクライスラークラシックに優勝した晩、私は現地の取材班に祝福の電話を入れた。丁度、祝杯をあげている時で、彼らの声も弾んでいた。私もNHK 時代に長いこと一緒に米ツアーの放送をしてきたので彼らの「マルちゃんと一心同体」の喜びがよ〜く分かるのだ。
 「島村さん、見ていてしゃべりたくなったでしょう」と言われたが、コースのあるグリーンズボロは、その名のとおり樫の大木の森林地帯、懐かしさがこみあげてきた。
 シーズン中盤までの丸山は首と肩の状態が思わしくなく沈みがちだった。夏の全米プロ選手権の中継に行ったときも「目標をいえるような状態ではないので・・・・」と控えめでマルちゃんらしさが全くなかったのだが、秋になり体調が良くなったのか、このところ上位に顔を出していた。
 勝負どころが続く中、丸山の集中した表情は夏場とは違う「戦う顔」になっていた。大事な一打の前に大きく息を吐き出す「呼吸法」が印象的だったが、スタッフにそのことを確かめると、去年のバイロンネルソンで優勝した頃からやっていたが、緊張感が漂う場面で「ハアーッ」と大きく吐き出し集中するのだという。米ツアーでの丸山のほとんどの試合を追いかけ、写し続けるカメラマンの目は確かなものだ。
 パットが巧く、ショットの安定感のあるブラッド・ファクソンにつけいるスキを与えずプレッシャーをかけたところに、怪我を克服したマルちゃんのしたたかさが感じられ、精神的にも強くなったと感服させられた。この大会はメジャー以外では四番目の長い歴史を持ち、サム・スニードが8回も優勝した伝統の大会でもあるのだ。
 おめでた続きといえば前日、丸山と仲のいい深堀圭一郎が日本オープンで逆転優勝してメジャーに初勝利した。肋骨骨折とイップスに苦しんだこの2年、優勝インタビューは彼の素晴らしい人柄がにじみ出ていた。「皆さんも知って欲しいのです。夢を叶えるために努力し我慢することが大切だということを・・・」
 明大の学生時代、ゴルフ中継のアルバイトでリポーターの私のマイク持ちをしてもらったことがあった。明るいハンサムな青年は怪我をのりこえ、心も強くなったはずだ。これからは親友、丸山を追って世界に飛び出して欲しいものだ。

丸山茂樹オフィシャル・ファンクラブ
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