Column No.56 (2003/11/26デイリースポーツ掲載分)
◎秋季キャンプから

 先週は宮崎県で秋季キャンプを張る4球団を駆け足で取材した。
 巨人の運動公園には巨大なドームの建設が進んでいる。高さ38メートル、長さ120メートル、肩を冷やさない空調設備、来年2月のキャンプには間に合う予定で工事が進んでいた。
 小久保、ローズ?の加入でますます大型打線がクローズアップされるが、この秋季キャンプで強く感じたことは「スーヤン」こと、須藤ヘッドコーチの就任による効果だろう。選手をのせることのうまさ、雰囲気づくり、若手の指導、新任の堀内監督と選手、コーチの間に立って絶妙のパイプ役を果たすことは間違いないだろう。「絶対に失敗しないスーパーサブ」を何人か作り上げたいというのが「スーヤン」のテーマだと耳打ちしてくれた。まさに現役時代のスーヤンである。光り輝くスーパースターに混じって、須藤選手は巨人の黄金時代を支えたのだ。「今の子はよく言うことを聞く、いい子が多いねぇ。V9時代とは違うんだなぁ」と、息子や孫のような若い選手が可愛くてたまらない表情のスーヤンだった。来年の巨人は「元気じいさん」が潤滑油になるだろう。
 西都市のヤクルトは岩村、高井、五十嵐ら若手のレギュラーも混じって静かな環境で汗を流していた。杉村コーチは「これから2月のキャンプまでの休養中に、どれだけ身体をつくれるか、若手にとってはトレーニングの期間といえるでしょう」と語っていた。阪神の金本がV旅行を辞退しトレーニングに励む気持ちがよくわかる。 
 その金本の育った日南市の広島カープ。相変わらずよく練習する。朝9時半から5時近くまで、天福と東光寺の2球場をフル活用、メニューを見ても春のキャンプと変わらないほどだ。「練習好きのカープ」の伝統が生き続けているのを見ると嬉しかった。
 日本一のダイエーは宮崎・生目の新キャンプ地、素晴らしい施設で始めたのだが、コーチ、選手の気持ちにしっくりしないものが感じられた。日本一の後の球団側の対応の悪さが尾を引いているようだ。優勝してもコーチ、選手の功績を金銭で評価しないようでは、経営者は失格といえるだろう。日本一になったのに、王監督の苦悩は来年の春季キャンプまで持ち越されるのだろうか?



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