Column No.62 (2004/01/14デイリースポーツ掲載分)
◎悲しい事件

 今年のセンバツ高校野球は3月23日から、迎えて76回大会になる。入場行進曲はSMAPの「世界に一つだけの花」と発表された。出場校の選考会を前にして、去年秋に好成績を収めた有力校は、この冬センバツを目指して厳しい練習に明け暮れているはずだ。
 折から、先週のデイリーを読んでいて私はかつての球児の不祥事に愕然とした。昭和51年のセンバツ準優勝校の主将だった選手がカメラ付携帯電話で若い女性のスカートの中を盗撮して警備員に捕まったというニュースである。
 この栃木県小山高校の首相の印象は、私には鮮明に残っている。私にとっても甲子園の高校野球で初めて決勝戦のマイクを持ったのだった。決勝戦は広島・崇徳対栃木・小山、事件を起こした球児は、確か選手宣誓をしたはずだ。大柄で明るく快活、4番センターでリリーフ投手も努めた。試合前にインタビューした時「あんなに言いたい放題言われたティームにだけは絶対に負けたくありません」と、快活な主将が気色ばんで答えたのが忘れられない。相手の監督は、高校野球では珍しく、本音をズバズバ言う方で「問題にしない」というようなニュアンスの発言をしたからだった。
 決勝戦は、嵩徳の監督が予想したように小山を投打に圧倒して5−0の快勝だった。盛り上がりに欠けた試合だったが、私にとっては初の決勝戦の実況ということと、妙に「ボロボロに言われて悔しい」といった少年の顔がいつまでも印象に残っていた。彼は春は2年連続、夏も甲子園に来て確か、原辰徳の東海大相模に勝ったはずだ。大学は早稲田、地元の大学の監督をしているというところまでは知っていたが、逮捕された時は無職となっていた。彼の卒業後の足取りは私には分からない。だが、甲子園球児が何故にどうしようもないあきれたことをしてしまったのだろう。彼の罪は県迷惑防止条例違反である。罪を償い、再生を期して欲しい。
 高校、大学の卒業のシーズンが近づいている。夢中になれた青春の時から、厳しい生活と生き方を問われる社会人になると、思い通りにならないことばかりなのだ。「バカな奴だ」などとくさすのではなく、もって他山の石として欲しい。



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