Column No.78 (2004/05/12デイリースポーツ掲載分)
◎放送席へようこそ


 大型連休の間、プロ野球の各球団は色々なファンサービスを行っていた。先週、私はヤクルト−中日戦を放送したが、大型連休後半の3連戦をヤクルト球団とCS放送のJスポーツがタイアップして「ゴールデンウィークキッズデー」を行った。この催しは3日間、20組づつの少年少女ファンを球場に招待、試合を見るだけでなく、選手と一緒の記念撮影、室内練習場、ベンチ、クラブハウスの見学をしてもらった。
 子供たちは間近にいる選手たちに声をかけられたり、近くで見る打撃練習の迫力に感激し、感嘆の声を上げていた。「選手が座るベンチにすわれて嬉しかった」「五十嵐投手と話してドキドキした」
 始球式は代表の少年が行い、あとの18人は内野のポジションに選手と共に立った。最も、こういった少年たちがポジションについての始球式は珍しくなくなり、各球団でもやっている。
 このキッズデーの目玉は3日間、Jスポーツの放送席に代表の少年をゲストとして招き、放送席でマイクをつけてもらった。小学4年生ゲストとの会話を紹介しよう。解説者も私も感心するような発言が聞かれた。「どこのファンですか?」「ヤクルトです」「本当は巨人じゃないの?」「いえ、違います。よそから4番バッターばっかリとってくるから嫌いです」「ヤクルトの誰が好きかなぁ?」「古田選手です。投手を引っ張って、リードが上手いから」「うぅん。たいしたものだ。思っていても言えないことをズバッというなぁ」と、解説の大塚光二さんも感心。「福留選手の打席だけど、どんな選手か知ってるかなぁ?」「はい、パワーもあり、打率も稼げるいいバッターです」「よく知ってるねぇ。解説者が言っているのかなぁ?」「いえ、お父さんです。球場やTVで見ながらお父さんが話してくれます」
 父が子に、おじいさんが孫に野球を伝える、話すことが素晴らしいのだ。野球の見方の原点はここにある。
 球団と放送局がタイアップしたキッズデイ、こどもの日に相応しいファンサービスといえるだろう。Jスポーツのプロ野球中継の今年のキャッチフレーズは「野球好き」。応援放送や最後に切れてしまう地上波はもう時代遅れなのだ。



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