Column No.85 (2004/06/30デイリースポーツ掲載分)
◎球団減で発展?

 先週はパリーグのの北陸シリーズの中継で金沢、富山を廻ってきたが、マスコミの関心は試合そのものより球団の合併、リーグ制の変化があるのかどうかに集中していた。
 記者団に囲まれるのは西武のアイスホッケーの名選手だった星野好男代表ばかり、スポーツ紙の記者達は何とかきっかけになる一言を聞きだそうと必死の面持ちだが、確たるコメントは出してくれるはずはないだろう。
 球界は1リーグ制に向かう議論が強そうだが、経営者の身勝手な考えに終始しているようで、誰のための「プロ野球」なのかというと、そこには選手やファンではなく、自分たちの生き残りという企業の議論しかないように見受けられる。球団が減ることはプレーできる選手が確実に減るということだ。勿論、指導する監督、コーチ、スタッフも減ることになる。現在球界に身をおいている選手達だけの問題ではなく、プロに夢を抱く若者達にますます狭き門にしてしまうことに繋がるのだ。縮小は発展の上で逆行であることは言うまでもなかろう。今の自分たちの保身だけを優先した考えなのだ。大体、プロ野球の新規の加盟金60億円、譲渡料30億円なんていうのは「俺たちだけの仲間にはいれないよ」という時代遅れの「縄張り意識」に他ならないだろう。
 アメリカのプロスポーツは常に「エクスパンション」という「拡大」の方向で栄えている。日本でも若者に人気のNBA (全米プロバスケットボール)は来シーズンから新しいティームが参加して30になる。そのために従来の東西地区を2つずつ4つのデイビジョン制だったものを、今度は3つずつの6デイビジョンに編成替えするのだ。拡大することで競技人口は増える。選手を育てる指導者もより必要になってくる。アメリカのプロスポーツは地域性が原則だから、子供達のファンも増えていくことになるのだ。そして、底辺に流れるものは「ファンに愛される、ファンのためのティーム」ということだろう。経営者の「儲ける」という考えも基本を崩してまでもというのではない。
 どうやら、日本ではプロ後発のサッカーの方が選手、ファン、地域を大事に、しかも「エクスパンション」し続けている。サッカー好きではない私だが、認めざるを得ないのだ。



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