Column No.102 (2004/11/17デイリースポーツ掲載分)
◎秋季キャンプより

 今日はドラフト会議、プロ野球を目指す新人選手にとって運命の日を迎えた。今でも開銀P司会を務めた「パンチョ」こと伊藤一雄さんの張りのある名調子を思い出す。
 それにしても、現在のドラフトは真のドラフトとはいえない。各ティームは自由枠というドラフトの抜け道で一番欲しい選手を指名してしまっている。ドラフトとは名ばかりなのだ。もともとアメリカのプロスポーツは戦力の均衡化を図ることでドラフト制度を導入した。前年の最下位の球団から選びたい選手を指名する。NBAではドラフトの順位と選手のトレードさえ行うほどである。
 今年、ストライキまでやって球界の危機と戦ったのだから、できればドラフトを含めた球界の刷新にまで徹底的にやってほしかったと思うのだ。ドラフトもどき会議は、もう今年限りにしてほしい。
 ところで、先週から駆け足で秋季キャンプを廻ってみた。宮崎県のダイエー、巨人、西武、広島と、4球団だけだったのだが、日本一の西武に一番興味があった。新人監督で頂点に上り詰めた伊藤さんを訪ねると、「いやあ、珍しいですねぇ。秋のキャンプには放送局はほとんど来ませんよ。島村さんのことだから、ゴルフが目的だったんでしょ!」さすが、名捕手、読みがいい。「秋のキャンプは何をテーマにするんですか」と聞くと、「チィーム練習はしません。個人の自主性ですね。自分がどう考えて、やりたいことをとことんやるかでしょう。ここに来ていないスター選手やベテランと、どこが違うのか自覚してやることしかないでしょう。あとは、秋季キャンプが終わり、来年の2月まで、どう身体をつくってくるかです。今年はそれをやってきてくれたのが、優勝に結びついたのかもしれませんね」
 土曜日の巨人キャンプ、驚くほどファンは少なかった。テレビ視聴率の低下を裏づけるように5、6百人位だったろうか。投球練習場で堀内監督が子供を抱き上げてファンサービスをする姿が努めてやっているようにも思えてならなかった。とはいえ、巨人のマスコミへの対応はしっかりしていた。報道陣用の帽子、名札をつけるストライプ、弁当にお茶、秋のキャンプでも対応は見事だ。
 ダイエーは巨人の3倍から5倍のファンが詰めかけていた。しかるに、報道受け付けも呼ばないと来ない。名札さえない。本社のお金がないのはわかっているが、お金をかけずともプロなのだから、報道陣に取材してもらう努力は必要だろう。
 ドラフトの今日も、キャンプでは来季に向けての静かな鍛錬が行われている。



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