Column No.105 (2004/12/08デイリースポーツ掲載分)
◎二強対決で順風


 日本の女子ゴルフは不動裕里、宮里藍の二強対決で盛り上がりを見せた1年だった。最終戦のリコー杯ツアー選手権はテレビの視聴率も90年代では最高の11.9%を記録、最終日のギャラリーは7400人を数えた。明らかに、藍ちゃん人気と実力者不動の二強対決にファンの興味が絞られたといえるだろう。
 私も先々週の最終日は宮崎へ飛んだ。2人のプレーもさることながら、インタビューをじっくり聞くことで「心のあり方」を知りたいと思ったからだ。2人に共通していえることは、自己分析力が的確で素晴しいのだ。宮里選手の話を聞いていると、とても19歳の女性とは思えない成熟度を感じる。小さいころから注目され場離れしているといってしまえばそれまでなのだが、さわやかさと知性とマナーのよさが感じられる。人は年齢ではないのだ。
 この大会で最後に逆転された宮里だったが、「負けても充実感で一杯です。不動さんとの差がでたのは勝負どころできっちり、冷静に戦えたかでした。不動さんは精神的にどっしり構えています。来年は精神面で強くなり、勝って当たり前の中で力を出し切りたいと思います。
 それでも。今年は精神的に成長しました。アニカ・ソレンスタムと廻り学びました。余計なことを考えず、自分の世界を作ること。コースと自分の戦いに集中することでした。来年は自分の成長を自信にしていきます」凄い吸収力であり、見事な自己分析である。
 5年連続賞金女王の不動はいつも言葉を捜し、選びながらトツトツと話す。奢らず、謙虚なところが何とも好ましい。男子プロが見習ってほしいほどだ。「藍ちゃんが入ったことでいい経験をさせてもらっている。大ギャラリーは藍ちゃんだけでなく、私たちにも声援を送ってくれた。ただブームと真の人気とは違うはず。来年からが本当に女子ゴルフを定着させる大事な年になると思います。若手、中堅、ベテランと夫々の役割があるはずです。年齢ではありません。藍ちゃんは中学生から活躍しているから、考え方は私たち世代と変わりません。来年は何事にも動じないプレーと心でありたいと思っています」
 この2人のエースがティームで戦った先週の日本韓国女子ゴルフの対抗戦で日本は逆転負けを喫した。韓国勢の朴セリ、グレース朴らは世界の舞台で戦い、ハングリーと勝負強さを見せている。これからは、不動・宮里を中心に日本の女子ツアーを盛り上げつつ、世界を視野に入れて羽ばたいて欲しいものだ。2人の素晴しい自己分析のインタビューを聞いていて、その日は遠くないと思えるのだが。



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