Column No.113 (2005/02/15デイリースポーツ掲載分)
◎ 欽ちゃんフィーバー

初めまして、島村です・・・・

 「スポーツアナウンサーの島村です。取材をさせてもらいたくて伺いました。よろしくお願いします」「えぇっ、本物の声だぁ」と萩本欽一さんのオーバーアクション。「いいことをなさいましたねぇ。凄い盛り上がりじゃないですか」と私。まさか、顔はともかく声を知っていてくれるとは私は思ってもいなかっただけに、びっくりする。欽ちゃん、お付のマネーシャーに向かって「本物だよ、よく聞いた声じゃない。何でまた日向までわざわざと」「実は、今日の午後、ここで講演を頼まれたので、ぜひ欽チャン球団のこともお話したいと思ったんです」「ぜひ、いろんな話をしていってください」
 宮崎県の高鍋町と日向市で講演を頼まれたので「地域とスポーツ」を語ろうと考えていた。プロ野球のキャンプ取材で沖縄・宮崎を廻っていたので、社会人野球とは言え、話題の欽ちゃん球団のキャンプとぴったり一致したこともあり、立ち寄ってみたのだ。雰囲気は欽ちゃん一色、プロ野球のキャンプでは見られないおばさん、おじさんのなんと多いこと、幼稚園児も先生の引率のもと、いくつもやってきて「声をそろえて「欽ちゃあーん」の大合唱を繰り返している。練習開始に少し遅れて萩本欽一監督が到着、車を降りると、ファンの大集団が取り囲み身動きが出来ない。それでも、欽ちゃんは嫌な顔一つせず、笑顔と会話をしつつ、サインのペンを走らせる。ひっきりなしに幼稚園児の「欽ちゃあーん」の合唱にも、「はぁいー」と答え続ける。こんな光景が二十分以上も続いたのだろうか。
 「女性と子供は大切に」と、あの星野仙一さんが常々いっていた言葉を思い出した。欽ちゃんの芸人としての姿勢を垣間見る思いだった。キャンプのスケジュールはユニークだった。野球の練習の前に毎日、労働トレーニングと称して、大根抜き、稚鮎漁、体育館の清掃、きんかんの収穫、花壇の草取りなどのメニューが行われた。こうした発想は野球だけやってきた人たちには思いもよらないことだろう。練習時間の方が大切だ。しかし、世間を知らない高校をでたばかりの選手には世の中のことを判らせる教育が必要だろう。苦労して芸人になった欽ちゃんだからこその発想といえよう。7日ら始まったキャンプは打ち上げ、選手たちは今日、日向市を発つ。地域との交流は社会人の選手にも地元にもおみやげとなったはずだ。何よりも、大勢のファンの声援の中で初めて練習した選手がほとんどだったはずだ。選手は仕事をもっている。鹿取コーチが「また、暫くは土日しか練習できませんから、実は大変です」と語った。
 欽ちゃんと、つかの間の「新コント55号」を体験した日向キャンプでした。



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