Column No.121 (2005/04/13デイリースポーツ掲載分)
◎ 全ては視聴率

 試合前の球場のグランドで、ベテランのアナウンサーと雑談してるうちに、最近の実況アナウンサーの妙な節をつけて喚き、叫ぶ風潮についての話になった。「なんで、むやみやたらに、ぎゃあぎゃあ喋り続けるんだろう。」「以前はそうじゃなかったアナでも、制作側からの要求に変えざるをえないんですよ。少しでも間があると、チャンネルを変えられてしまうとプロデューサーは思うんです。チャンネルをガチャガチャ回している人が、面白そうだと、止めて聞いてくれればいいんです。野球が好きで見ている人より、たまたま見た人を増やすこと、つまり、どれだけ視聴率が稼げるかがプロデューサーの手腕になるんですね。アナウンサーはそうさせられるんです」
 セ・リーグ開幕戦の巨人−広島の視聴率は関東地区で13.5%と低迷した。史上最低率の開幕戦中継となったのだ。視聴率の低迷は今年に始まったことではない。勿論、巨人の不甲斐ない戦いぶりに巨人ファンががっかりしていることは確かだろうが、愛想をつかして見なくなったとは一概にはいえないだろう。若者たちのテレビの嗜好はバラエティやクイズなどの視聴者参加によるお笑い型の番組が支持されるようになってきた。制作費をあまりかけず、視聴率を稼げるバラエティは各局が競ってゴールデンタイムに並べている。つまり、テレビ局の仲間同士でくいあっているいるわけだ。だいたい、巨人戦に20%以上もの視聴率があること自体がおかしいのだ。今の視聴率はやっている野球を考えれば決して悪いとは言えないはずだ。
 むしろ、問題なのは、いつまでも巨人におんぶにだっこのセ・リーグのあり方に問題がある。横浜の若林オーナーが本拠地開幕の巨人戦の観衆が一万人少々だったことに「巨人離れは深刻、何とか対策をかんがえなければ、視聴率も心配です」などといっている。あきれて物も、いえやしない。横浜は、TBSは、自分たちの努力とやり方で観客を増やしと視聴率を上げるべきで、巨人と日本テレビにあやかっているようでは、とても経営感覚があるとは思えない。プロ野球に参入してくるIT産業にも勝てなくなるだろう。TBSやフジテレビが巨人びいきなのかと思えるようなアナウンサーの口調を聞かされると「ははぁん、陰で操っているのは視聴率しか考えない製作者か」と勘ぐりたくもなるのだ。そこへ行くと、関西は分かりやすい。みんなそろって阪神タイガース、でもオリックスバファローズも可愛がってやぁ・・・。



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