Column No.132 (2005/06/29デイリースポーツ掲載分)
◎ 初出場の優勝

 「神業ですね」と解説者の岡本綾子がいったバーディ・キムの全米女子オープンの優勝を決めた最終18番のバンカーからのチップインバーディ、ミラクルショットやスーパーショットが勝負を決めるメジャーは面白い。コースセッティングが目茶目茶厳しいから、時として「神業」のショットで決着がつくことがあるともいえるのだろう。
 今回の60回大会も一流選手のプレーが下手に見えるほど難しかった。そして、アマチュア選手がこれほど注目され活躍した大会も長いことなかったのだ。劇的な優勝を飾った韓国のキムはプロとはいえ、まだ経験の浅い全米オープン初出場の優勝、最後まで優勝争いをしたアマチュアのモーガン・プレッセルは17歳、「二位はいらない。優勝しないと歴史に名前を残せない」と語る怖いもの知らず若者である。「全米女子オープンは、その怖さを知らないうちに勝ってしまう方がいい」といわれる。殿堂入りしているスーパースターだったツアー最多勝利のキャシィ・ウイットワースも、超人気のナンシー・ロペスもタイトルの重さとそのプレッシャーに負け全米女子オープンのタイトルだけはなかったのだ。
 今度、殿堂入りし、解説をしていた岡本綾子さんも二度逃した。一度はプレイオフに1打届かなかった。ジェーン・ゲディスというパワフルな新鋭に優勝をかっさらわれた。翌年、3人のプレイオフに残った。相手は全盛期を過ぎたカーナーおばさんと巨体の新人デービース、その時点での実力、成績からいえば文句なしに綾子さんが優勝候補の筆頭だった。しかし、時は味方せず、運を背負えなかった。私が放送した数々の名場面の中でこれが一番の「無念」である。時がたつほど、そう思えてくるのだ。
 韓国のバーデイ・キムの優勝は韓国にとって2人目の快挙である。最初は98年のパク・セリだった。米の女子プロゴルフ界でアジアの開拓者は日本だった。キムの優勝が決まり解説者岡本綾子が「次は日本ですね」といっていたが、今のままでは難しいだろう。今回、宮里藍、不動裕理らが挑戦し予選落ちした。全米女子オープンに挑むなら、米ツアーを毎週戦うことから始めるべきだ。ポツンと最大の大会に行っても勝てるものではない。まず、レギュラーの大会に勝つことら始めることだろう。東尾理子のツアーのトライは頷ける。でも、今回予選落ちしたあとに放送のリポーターをすることはないだろう。
 「勉強になる」などという理由付けより「くやしがって」やることが他にあるはずだ。ついでにいえば、アナウンサーの実況は最悪だった・・・ね。



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