Column No.140 (2005/08/24デイリースポーツ掲載分)
◎ 西武、危うし

 昨年の日本一、西武ライオンズがプレイオフに残れるかどうか、非常に厳しい状況を迎えている。
 「どうした西武」とプロ野球ファンの誰もが思っているはずだ。去年のチャンピオンティームの主力は健在なのだ。それなのに、ミスやチャンスを逃し、ここぞと言う時に勝てない。
 20日のホークス戦が象徴的だった。杉内、西口と15勝同士の素晴らしい投手戦、恐らく今シーズンのセ・パ両リーグを合わせても1、2に挙げられる内容豊かな試合たったといえる。奇しくもこの日は甲子園の高校野球の決勝戦と同時刻に行われていたのだが、「これぞプロ野球」といえる年に何試合もない好試合だった。試合は2対1で杉内に軍配が上がったのだが、試合後、王、伊東両監督が口裏を合わせたように「見ごたえのある最高の試合だった」と絶賛した。「投手が逃げずに厳しく打者に向かって攻めていく。この姿勢が投手には一番大事だね」と王監督、派手な撃ち合いも面白いが、一球一球に目が離せない対決こそが野球の醍醐味といえるだろう。私も放送席で時を忘れて堪能した。この試合を落とした西武は翌日も追い上げが及ばず連敗する。投打がかみ合わないのだ。今年は何処かが狂っている。怪我人も多い。実はこの兆候は伊東監督が誕生した去年のキャンプに伺えたのだ。オープン戦を見ていて、「ひょっとするとAクラスは危ないかな」と私は心配した。しかし、伊東さんの「我慢、辛抱強さ」で逆転の日本一に輝いたのだ。今年は弱点を補強して「リーグトップでの連覇」を目指したはずだ。
 先日、西武のファームの試合を見る機会があった。一軍経験者がずらっと並んでいた。大怪我からようやく戻ってきた佐藤友、勝負強い平尾、パワーのある後藤、俊足柴田、好打者の高木大、バッティングのいい大島、今季中盤で三割近く打った若手の栗山、使える選手ばかりだ。それでも下にいるのは何か理由があるのだろう。投手も去年の日本シリーズで復活した石井、台湾勢の許に張、去年活躍した長田、キャンプて期待された鳥谷部と多士済々なのだ。彼らが一軍で投げられないことも苦戦の要因なだろう。投手王国だった西武の防御率は楽天の上の5位、松坂が指摘した「球際の弱さ」も西武の伝統から離れているといえよう。
 23年連続Aクラスと最も安定していた西武はいま大きな危機を迎えている。それにしも、面白いプレーオフ制度だが、オリックス、西武が五割に満たない成績で3位になって、優勝でもしたら、どうなんだろう。



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