Column No.150 (2005/11/02デイリースポーツ掲載分)
◎ マスターズ甲子園

 今週末の5日土曜、6日日曜日、甲子園球場でマスターズ甲子園が開かれる。「一体、何の大会なのか」と首を傾げる方が多いはずだ。正直、私も昨年から始まり、今年が2回目だということさえ知らなかった。ただ、今年から星野仙一さんが大会の名誉会長に就任したという記事を読み「そういえば、仙ちゃんは甲子園不出場組だったなぁ」と遠い昔を思い出した。
 岡山県倉敷商業のエースだった3年の夏、優勝候補筆頭といわれた少年・星野仙一投手率いる倉敷商業の夢は東中国大会の決勝で砕かれてしまった。当時は一県一校の代表ではなく、岡山と鳥取の代表による決勝戦、打力のない米子南に許した1点が最後まで重くのしかかってしまい、よもやの敗戦を喫した。私と星野少年はこの日、ニアミスをしている。夏の暑いこの日、私は新人のアナウンサーとしてNHK鳥取放送局に赴任、試合の放送を終えた先輩達が歓迎会を開いてくれ、私の赴任より、星野投手の倉敷商業を破った米子南の勝利で盛り上がったことを昨日のことのように思い出す。
 このマスターズ甲子園は夢を果たせなかった元高校球児の想いを叶えてあげようという、大人の甲子園大会・マスターズなのだ。全国の甲子園を目指した選手たち、世代、出場の如何、元プロ・アマなどの経験を問わず、出身校別に同窓会ティームをつくり甲子園の夢舞台にたとうというものである。今年第2回大会の要綱を見ると、非常に興味深いプログラムになっている。開会式の入場行進をリードするのは市立西宮高校の女子生徒だったOGたち、まさかおばさん達のセーラー服姿ではないと思うのだか、どんなものでしょう。「プラカードの先導の女学生、胸に一輪、真紅のバラ」と実況したのが懐かしい。甲子園に出場出来なかった選手たちが、かっての自分のポジションについてノックを受ける。兄弟、親子、女性ペアーの甲子園キャッチボール、東日本OBティーム対西日本OBティームの対戦、鹿児島県の離党から徳之島高校もやってきて試合をする。確か徳之島は、もう少しで甲子園という年があったはずだ。全国28の都道府県から83の高校、最高齢者は70歳、最年少は卒業したばかりの19歳、600人を越す世代を越えた高校野球大同総会となる。
 出来れば、ノスタルジーで終わらせて欲しくはない。このところ、高校野球の不祥事が幾つも表立ってきた。甲子園至上主義のなせるところは明白だ。「甲子園の心」は予選で悔し涙を流した選手の方が、その後の人生に活かしているかもしれない。大会の成功を祈りたい。



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