Column No.201 (2006/11/22デイリースポーツ掲載分)
● キャンプの成果

 各地とも好天に恵まれた秋季キャンプが終わった。シーズン終了後の秋季キャンプで、如何に鍛えるかが、大きなポイントになっていることはいうまでもない。かっては若手を鍛える場の秋季キャンプだったが、最近はティームの主力も参加するようになってきた。今年、日本ハムで大活躍した稲葉選手がヤクルト時代に宮崎の西都原で一人黙々とバットを振っていたことを思い出す。結果が出なければ、例えベテランでも、主力でも、己に厳しくやるしかないのがプロの世界である。
 来季、大リーグへティームの顔が行ってしまうティームは危機感をもって秋季キャンプに臨んでいた。阪神の倉敷キャンプを訪問することが出来なかったのだが、本紙によると、「岡田監督、にんまり」と見出しをつけていたように、「大きな成果」を得られたようだ。右手故障の今岡、今年不本意だった赤星、大活躍の藤川ら主力が参加したことも、井川の抜ける「危機感」を乗り越えようとする意欲の現われとみていいだろう。
 宮崎の3球団を駆け足で廻ってみた。巨人は新コーチ伊原さんの活動と中西臨時コーチの若手をのせようとする元気のいい声が印象に残るが、主力は不在に近い。練習試合で3連敗したが、その結果はともかく、清武球団代表が「血の入れ替えが必要」と語ったコメントが気に入らない。いつまで選手のとっかえひっかえをやれば気が済むのだ。獲ってくること以上に育てることをテーマにしない限り、所詮は今までと同じ繰り返しになる。コーチが目立つようでは「いいキャンプ」とは言えないだろう。
 松坂が抜ける西武は選手を追い込む激しいキャンプをやっていた。主力はほとんど参加、普通、外国人選手はシーズンが終わると帰国してしまうことが多いのだが、なんと、ギッセル、グラマン両投手も残っていた。松坂の抜けたあとをどうするか、1982年以来25年間連続Bクラスなしの西武にとって、来季は最大の危機の年になる。伊東監督・荒木コーチの手腕に期待するのだが、伊東監督は「この秋にどれだけやれるかで決まる。春のキャンプに万全の体調で来ない者はいらない」と語っている。どの球団の首脳陣も一様に「終わってからも、毎日自分でトレーニングを続けられるかだ。3日も遊んでいたら、身体は元に戻る」プロ野球選手のオフシーズン、休養とリハビリとトレーニングのバランスをどうとるのか、グラウンドの戦い以上に、こちらの方が難しいのかも知れない。



--- copyright 2001-2006 New Voice Shimamura Pro ---
info@shimamura.ne.jp