Column No.203 (2006/12/05デイリースポーツ掲載分)
● アジア大会への期待

 アラブ圏で初めての第15回アジア大会がカタールの首都・ドーハで開幕した。アジア大会の歴史では最大規模となる今大会、45の国と地域から参加している。オリンピックと同じ総合体育大会だが、アジア大会ならではのユニークな競技に注目してみたい。今大会からトライアスロンとチェスが加わり39競技になったのだが、チェスもスポーツなのかと首を捻る方もいるかも知れない。広島大会でセパタクロー、カバティを見たときは新鮮な驚きだったが、千年を越す歴史があると聞けば、スポーツとしてだけではなく南アジアの文化にも触れる思いがする。空手、太極拳、テコンドーの武術、ボーリング、ビリャードのレジャーも行われるところは、オリンピックとの違いがあり、面白い。
 ニューデリー、ソウル、北京、広島と4回のアジア大会の中継をしてきたが、どの大会でもアナウンスに気を使ったものだ。国の状態が、不安定であったり、宗教、風習などの極端な違いに首を傾げることも多々経験した。今回は北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国の核実験の後、拉致事件も解決していない中だけに、複雑な思いの方も多いはずだ。
 開催国のカタールは宗教上の理由で女性が自由にスポーツに親しめない環境にあった。今大会を契機に、誰もがスポーツに親しみ、関心の持てる状態になって欲しい。競泳と陸上に、初めて女性代表が登場するのは快挙と言えるのだろう。
 日本はアジア大会に特別の敬意を持ってほしいものだ。戦後、日本は戦争責任で国際スポーツから締め出されていた。1951年にインドのニューデリーで第1回大会が始まるとき、アジア諸国は戦時の侵略から日本の参加に賛成はしなかった。
 インドのネール首相の力添えと説得で、日本はアジア大会に出場出来、このことから、IOCに復帰し、翌年のメルボルン五輪に参加し、国際社会へ戻ることが出来たのである。アジア大会のたびに、この経緯を思い起こして欲しい。「平和への願い」は日本が一番切実に願うことなのだ。そして、親日家だったネール首相の友情と勇気を忘れてはならないだろう。
 かって、日本はアジア大会ではNo.1だったが、今では違う。アジアでトップにならなければ、五輪のメダルに手は届かないのだ。人気の卓球の愛ちゃんだが、団体はメダルを逃している。マスコミもスター扱いは「ホドホドニ」可愛い愛ちゃんに過分のプレッシャーは与えないことだろう。それより、アジア大会らしい競技に興味をもつてみるのは、如何なものか。



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