■ Column No.239 (2007/08/28デイリースポーツ掲載分)
● ビッグアップル

 今年も晩夏のニューヨークへやってきた。涼しいと聞いていたが蒸暑い。ゴルフ中継から、テニス中継まで20年近く毎年欠かさず3週間から3ヶ月滞在してきた。マンハッタンの摩天楼の景色が普通に見えるように馴染んできたのは何時頃からだろうか。大好きな街ニューヨークはいいこともあれば、悪いことも、全てここにある。嫌いな人も勿論多いはずだ。
 NYはビッグアップルと言われる。「大きな果実」を求めて世界中の人が集まってくる。殊に、経済・芸能・スポーツ・文化で成功を夢見る若者達の憧れの街といえるだろう。
 全米オープンテニスは今日から始まったが、実は既に先週から本線の出場を賭けて厳しい予選が行われてきたのだ。男女128人づつが世界ランキングの順位で大会に出られるのだが、男女とも16人づつの予選からの勝ち上がりの枠がある。先週、この予選を取材したのだが、その厳しさは本大会並みである。この予選も男女128人づつが出場する。3試合連続で勝った16人づつが今日からの全米オープンに出られるのだ。かつての著名選手がこの予選から挑んでくることも珍しくない。
 日本からは男女11人が挑戦したのだが、誰も「スモールアップル」を手にすることは出来なかった。男子のエース・鈴木は1回戦、「テニスの王子様」と大会前注目された錦織は2回戦止まり、今年、全豪にも出場、添田も最後の3回戦で涙を飲み、日本男子にとっての壁の厚さを痛感させられた。
 女子は17才の森田あゆみから29歳の岡本まで8人もの選手がトライしたが、1、2回戦で敗れ去った。「天才少女」と騒がれた森田のこのところの伸び悩みが気になる完敗の初戦敗退だった。こうして見ると、杉山愛の4大大会54連続出場が、とてつもなく大変なことであることを改めて実感させられるのだ。
 さて、大会の焦点は、男子はフェデラーの史上初の4連覇を米のロディック、好調、実力をつけたジョコビッチ、ライバル・ナダルが止められるかだ。女子はランク1位のエナン、地元でウイリアムズ姉妹の「真の復活なるか」シャラポワの連覇は怪我からどの程度回復しているのか。本人は「とてもいい感じよ」と言っているのだが、クエッションはつくだろう。
 「ビッグアップル」を手にするのはオープン化以来40回目の大会で果たして誰なのだろうか。
 14日間の中継をご期待下さい。



--- copyright 2001-2007 New Voice Shimamura Pro ---
info@shimamura.ne.jp